浪人時代

本を母親に渡してから多分1週間位してからだ。

俺の部屋の机の上に一通の手紙が置いてあった。

母親からだ。

俺からの本を見た感想が書いてあった。

そこには意外な返事が書いてあった。

俺は今までの母親からして、自分の教育が完璧で自分に間違いが無い! と心の底から思っている様な女性だと思っていたし、あの本を渡した時から 空前絶後の「親子喧嘩」を覚悟していた。

そう、俺は「絶縁する覚悟」だった。

てっきり母親は俺に食ってかかってくると信じ切っていた。

しかし内容は違った・・・

「ごめんなさい・・・」と。

「よかれと思ってやったんだ!!」・・と。

最初俺は意味が分からなかった。

分かりたくなかった。

むしろ食って掛かって来てくれた方がどれほど楽だったか。

ここで謝られたら、今までの怒りをどこにぶつけて良いのか??

気持ちの整理が全くつかなかった。

しかし俺は母親への憎悪感がますます増していった。

ごめんで済むのか??

俺の学生時代を返せ!!

俺の小学校時代を返せ!!

俺の中学校時代を返せ!

俺の高校時代を返せ!!

俺の10代を返せ!!!

ごめんで済むか!!

ふざけるな!!

お前の思い違いで俺はどんな苦しみを味わったと思ってるんだ!!

とめどない怒りが溢れてきた。。

こんな状況で勉強に身が入るわけではない・・・。

俺は5校受けた大学試験に全て落ちた・・・

2月の事だった・・。

俺の人生は一度そこで終わっている。

友達もいない

彼女もいない

親には計り知れない怒りを抱いている

過去には全て嫌悪感を持っている

自分が嫌い

自分に自信を全くもてない

人と話すことが出来ない

お金が無い

学歴が無い

夢が無い

人が怖い

未来が怖い

こんな状況の俺になにが出来る??

泣きながら笑うしかなかった・・・。